『 恋におぼれて 』

Addicted to Love (1997) USA、1hr. 40min.



田舎で天文台勤務をしている冴えないおじさんサム(マシュー・ブロデリック)は恋人から別れの手紙を受け取る。教員研修でニューヨークに行きそこで知り合ったフランス人のレストラン・オーナーと愛し合う様になったからとの事だ。 サムは自分の愛で元恋人を取り返したいと考え、ニューヨークに出向く。 二人の愛の巣の向かいの建物から二人の様子を監視していると、そこでマギー(メグ・ライアン)と出会う。 マギーはレストラン・オーナーの元フィアンセで、自分を裏切った復讐をしたいと考えている。 そこで、マギーとサムは、その幸せそうなカップルを引き裂く計画を協働で開始する。

隠しカメラで二人の様子を常に監視し、プロジェクターで大きくして壁に映し出したその画像を楽しそうに眺めるマギーとサムの様子はかなり病気で虫唾がはしる。 二人の留守にアパートに入り込みいろいろと嫌がらせのセッティングをしたり、レストランに虫を放ち、レストランの評判、経営を台無しにしたりとマギーとサムは傍若無人の悪質犯罪の限りをつくす。

これでは、夫々のお相手が離れていったのもうなずける。そもそも、恋愛が終わったからって、相手に復讐するというのはお門違い。 互いの価値観が異なり、或いは、魅力が薄れたのだから、怨むとしたら、相手ではなく自分であろう。 この映画でまことに気の毒なのはレストラン・オーナーであった。

メグ・ライアンとマシュー・ブロデリック主演のラブ・コメディ、ということになっているが、とんでもないと言いたい。 ストーキングやハラスメントはコメディーの題材にはならないとわたしは考える。 ストーキングは、やはり、キャシー・ベイツ主演の90年度作品ミザリーのように扱って欲しい。 自分が好きな人が実は自分のことを好きでなく自分から逃げようとしている事に気づいた時に彼女が極めて残虐な行為に出る恐怖感が良かった。 もっとも、メグ・ライアンの演技力では無理な相談ではあるが。

こういったシリアスなテーマをコメディにしようという発想こそが恐怖であり、観ている途中は不愉快で、極めて後味の悪い映画だった。

dir: Griffin Dunne


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