『 ボーイズ・ドント・クライ 』

Boys Don't Cry  (1999) U.S.A. 1hr. 58min.



1993年に実際に起きた殺人事件の被害者ティーナ・ブランドンの短い人生を実話に沿って映画化。 アメリカの田舎町のふつうのティーン・エイジャー、ブランドンは、生物学上は女性と認識される特徴を持っていたが、 自分の意識は完全に男の物だと感じ、オンナの体に閉じ込められたオトコの苦悩を自覚していた。

ブランドンは、ちょっと華奢な感じのするキレイな男の子として、みんなと一緒にお酒を飲んだり肝試しをしたりといった遊びをしていた。 でも、ブランドンは、実は、オンナだったという「秘密」があった。 オンナである事に馴染めず、髪を短くして胸にはサポーター様のものをきつく巻き付け、ジーンズの股間には丸めたソックスを忍ばせるのが毎朝の身支度だった。

ブランドンに相思相愛のガールフレンドが出来た。ラナという女の子で、ブランドンは結婚を申し込む。 でも、前後して、友人達の間でブランドンの正体が明らかになってきて、周囲の態度が一変する。 それまで、仲の良い遊び仲間だった連中はブランドンに対してどういった態度で接して良いのかわからず、その結果として生まれた憎悪感は、ブランドンに対して向けられた。 一方、ラナはブランドンの正体が分かった後もパニックに陥ることなく彼を受け入れる。

今迄信じていたものが違ったと分かった途端、男同士の友情を汚されたと思った男友達はブランドンをレイプしてしまう。 そして、彼(彼女)は 1993年、ネブラスカ州で殺害されてしまう。ただ、「みんなと違う」というだけの理由で。

映画は心と体の性が異なる故の悲しみ、性同一性障害が表向きのテーマとし、人間の弱さを描こうとした意図になっている。しかし、一番の不幸は、米国の田舎での貧困(金銭的貧困であり知性的貧困)な社会だ。 これがもし、都会の普通に収入のある階級であったなら、こういった展開、結末は無いのだから。 力作ではあるが、決して後味の良い映画ではない。

ブランドン役のヒラリー・スワンクが、2000年度のアカデミー賞で主演女優賞を取った作品。 (06/16/00)

dir: Kimberly Peirce

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