『 エド・ウッド 』

Ed Wood (1994)  USA 2hrs. 7mins.



50年代のハリウッドで史上最低の映画監督と呼ばれた実在の人物エド・ウッドの伝記映画。

エドワード・D・ウッド・ジュニア(ジョニー・デップ)は、映画が大好きで映画にかける情熱だけは誰にも負けなかったが、才能は誰よりも負けていた。 女装趣味がありアンゴラのセーターに憩いを見出すこの監督は人柄が良く、そこに惹かれて彼の周りには様々な人々が集まり映画を作っていく。 エド・ウッドの監督デビュー作「グレンとグレンダ」は性転換した人の話を作る企画を引き受けておきながら、女装趣味のある人の悩みを描く映画を作ってしまい、バーで知り合った往年のドラキュラ・スター、ベラ・ルゴーシ(マーチン・ランドー)を主演に「プラン9・フロム・アウター・スペース」、 「ブライド・オブ・モンスター」などの映画を作るが、どれもほんとうにしょうもない映画なので評価はされない。 エド・ウッドは、しかし自分の作品に大変満足して、自分が面白いと思うものと自分以外の人の面白いと思うものが何やら違う、と思うだけで、評価されないのが自分の才能の欠如だという発想は全く無く、次の映画の企画に熱中するのだ。

彼は自分自身を才能に溢れる映画人と信じ熱心さを常に失わずにチープでどうしようもない映画を作りつづけた。 エド・ウッドは、自分を信じて夢を諦めず映画を自分の天職と信じて愛しつづけた人物なのだった。

ティム・バートンのモノクロ画面が美しい。 実際の『プラン9・フロム・アウター・スペース』は、UFOをつっている糸が丸見えだったり、墓地のシーンが張りぼてミエミエのひどさだったとのことですが、 この映画の中の映画では、チープっぽさを出しながらも美しい画面に仕上がっています。バートン監督もまたエド・ウッドに惹かれたひとりなのですね。
アカデミー賞助演男優賞受賞(マーチン・ランドー)

dir: Tim Burton