『 ラン・ローラ・ラン 』

Lola rennt (1998) Germany 1hr. 19min.
Run Lola Run (US Title)



恋人の危機を救うべくベルリンの街をひたすら走るローラ。 全編に流れるテクノポップスのリズムと共に映画も最後まで走る。

ローラ(フランカ・ポテンテ)は髪を鮮やかな赤に染めたパンク。 ギャングの使い走りの様な事をしているボーイフレンド、マニ(Moritz Bleibtreu)をモペットで迎えに行く約束をしていたが、タバコを買っている隙にモペットを盗まれてしまい彼との約束を果たすことが出来なかった。 仕方なく電車で帰るマニは、事もあろうにボスから預かった金 100千マルクの入った袋を電車の中に置き忘れてしまう。 ローラのところに電話をしてくるマニ。「20分以内にボスのところにお金を持っていかないと殺されてしまう! 助けて!」

ローラは受話器を置くやいなや走り出す。20分以内にお金を用意してボーイフレンドを救うのだ。 行き先は銀行。彼女は実は銀行頭取の娘だったのだ。 疾走して銀行に辿り着いたローラは父親に DEM100,000が必要な事を説明するが取り合ってもらえない。 どうしたら良いか・・・ 時間は刻々と過ぎていく。せっぱ詰まるローラ。

結局、ローラはマニを助けるに至らないうちに制限時間の20分が経過してしまう。 これで終りかと思うと、時間は20分前の電話を置くシーンに戻り、もしちょっとタイミングが違っていたら・・・という設定で再びローラは走り始める。 アパートの階段を駆け降りる時に出会う犬も同じだがその犬を飛び越えて行くか無視するかといった決断で次の遭遇が少しずつ違ってくる。 街の随所で出会う人たちも同じだが、しかし、ローラと出会うタイミングが微妙に違い、出会った瞬間にカメラのスナップショット的に表現される彼らの未来の姿も異なったものとなる。


出会う人々の将来の姿がスナップショットで映像化される手法は面白い。 その他にも映像はアニメーション、こま落し、わざと画質を落した映像などを組み合わせてドライブ感と臨場感を盛り上げています。 人生はほんの小さなきっかけで変わってしまう。 毎日は人生を変えるかもしれない決断だらけだと、しつこいほど繰り返される映画のテーマは、テクノポップスの単調なリズム反復とシンクロしてインテリジェンスすら感じさせる表現に変化しています。

ローラ役の Franka Potente、彼女はミュージシャンでもあり、本作品の主題曲 “I Wish”は彼女の作品。 マニ役の Moritz Bleibtreuはポーランド出身、ハリウッドの俳優には無いヨーロッパ風味をたたえていて、ドイツの街に良く合う。

全編に流れるテクノポップスのリズムに乗ったスピーディーなドライブ感たっぷりの映像が展開が心地良い作品。 ハリウッド作品には無いエッセンスがちりばめられたオリジナリティー溢れるヨーロッパの映画です。(12/18/99)

dir: Tom Tykwer


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