『 ルル・オン・ザ・ブリッジ 』

Lulu on the Bridge (1998) U.S.A. 1hr. 43min.



ジャズクラブで演奏中に銃撃事件に巻き込まれたことから演奏できなくなり人世が変わってしまったサキソフォン・プレーヤーと女優の卵の不思議な出逢いのドラマ。

演奏中に銃撃を受けて瀕死の重症を負ったサックス・プレーヤー、イジー(ハーベイ・カイテル)は片肺を摘出する手術の結果一命を取りとめるも演奏は出来なくなってしまう。 音楽がすべてだった彼は事件のあと生きる希望を失っていた。 ある夜、道端に死んでる男を見つけたイジーはその傍に落ちていた鞄を持ちかえってしまう。 中から出て来たのは、アメックスの使用控え、電話番号が書かれたペーパーナプキン、そして、握りこぶし大の灰色の石の入った箱。 その石は不思議な石で、周囲を暗くすると青い光を放ちながら宙に浮くのだった。 イジーはナプキンに書いてある番号に電話してみると、出たのは売れない女優の卵でレストランで働く Celia (ミラ・ソルヴィーノ)だった。 ふたりは不思議な石の力であっというまに恋におちる。

幸福な日々は、不思議な石の行方を追う黒ずくめの服の男達の出現で方向変換する・・・

主演のふたりの他の出演者は、昔の美人女優で今は映画を製作していて、セィーリアの初主演作を撮るキャサリン・ムーアにヴァネッサ・レッドグレーヴ。 変な悪魔みたいな Dr. Van Horn役は、ウィレム・デフォー。笑顔で歌う「雨に歌えば」は象徴的な恐怖(『時計じかけのオレンジ』)を好演。 他に短いシーンだが、セィーリアが過去に出演した端役のシーンに登場する、ルー・リードもどき(ルー・リード)は最高。 分かり難いが、トーキング・ヘッドのデイビッド・バーンも ラウフィングマンとして出演。

題名の Lulu On The Bridgeは、セィーリアが出演することになった映画「パンドラの箱」の主演ロールの名、ルル、 (1929年 Georg Wilhelm Pabst 監督「パンドラの箱」主演女優の Louise Brooks は以降 Luluと呼ばれた) そして、ブリッジはアイルランドにある有名な橋。 ニューヨークとダブリン、現実と幻想が交錯する不思議な映画。 結び付けるのは、青い光を放ちながら宙に浮く不思議な石。 鑑賞後の余韻が心地よい文学的な作品。

dir: Paul Auster


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