『 ナインス・ゲート 』

Ninth Gate, The  (1999) U.S.A. 2hr. 7min.



ジョニー・デップ扮する古書鑑定家が依頼された古書を鑑定するうちに事件に巻き込まれて行くサスペンス。 現代社会の悪魔崇拝を扱ったロマン・ポランスキー監督5年ぶりの新作。

ディーン・コルソ(ジョニー・デップ)は、その知識、能力ともに世界有数と業界内に知れ渡っている古書鑑定家であり、またやり手のブック・ハンターでもある。 彼の今度の依頼人は、ニューヨークで出版業を営むボリス・ バルカン(Frank Langella)。彼は古書の収集家であり且つ悪魔研究家としても名を馳せていた。 鑑定するのは「The Ninth Gate」、300年前に書かれた有名な魔術書だが出版後直ちに禁書となり著者とともに焼かれてしまい、世界に三冊しか残って無いと言われている貴重なものだ。バルカンは最近になり、この本を一冊入手したが、3冊の中で本物は一冊のみではないかと疑っている。 コルソの請け負った仕事は、3冊を詳細に比較して真贋を確かめる事、そして、もしバルカンの入手したものが本物でない場合は、如何なる手段をとってでも本物を入手するというものだった。

コルソが仕事に取り掛かるや否や彼の周囲には怪しげな出来事が頻発する。 怪しい人につきまとわれ殺人事件も起こる。一旦は、この依頼を断ろうとするコルソだが、結局、本の謎を追いヨーロッパへ飛ぶ・・・

悪魔崇拝や魔術は古くから西洋文明にかかわって来ており、現代でも一部の支持者を持つ主義・思想となっている。たとえばキリスト教では神と悪魔は表裏の関係となっていて、神秘主義的発想では尚更だろう。 もっとも、主人公のコルソは悪魔も神も特には信仰せず、信ずるのは「パーセンテージ」(手数料の料率 = お金:バルカンから仕事の依頼を受けた時に、バルカンに「迷信は信じる方か」と尋ねられて)。 そんなコルソだが、調査をすすめていくうちに、いつのまにか、魔術崇拝グループと深い関わりを持っていく。 この映画は、悪魔自体がその姿を具体的に表すことは無く、あくまでも間接的に悪魔崇拝社会への関わりが一人の現代人の人世を変えていくといった展開になっている。

わたし自身は悪魔や魔術の存在は特には信じない方なのだが、科学で説明できないものは一切信じないという程でもない。 世の中には、科学で解明できていない事の方が多いのだから。 それでも、あまり悪魔や魔術が具象的に表現される映画は好きになれないのだが、この映画は、悪魔の存在は抽象的であり、サタニック・サスペンスというよりは、ヨーロッパを舞台にした古書の謎解きサスペンス魔術風といった感じで楽しめた。 科学第一主義の人だって、悪魔崇拝グループの存在自体は否定できないだろうから、そういったグループが絡んだ怪しい出来事の数々、次から次へと謎が出現するサスペンスとしてとらえてもよいだろう。
この映画のもうひとつの特徴は、古書ディーラーという世界を取り上げたことで、これは新鮮で興味深かった。三冊の本を比べての謎解きも面白い。 また、コルソが謎を追い訪れるトレド〜パリ〜シントラ(ポルトガル)といった長い歴史の重みのあるヨーロッパ各地の風景の映像が美しい。 映画はスピーディーな展開はなく、歴史の重みに合わせた時間の流れで、それはそれで心地よかったのだが、終盤にかけて、悪魔崇拝グループの実体があからさまになるあたりから、とつぜんスピードが変わりエンディングはかなりあっけない感があったが、ポランスキー的といえるのかもしれない。 (05/06/00)

dir: Roman Polanski


Movies Menu    <<  Main Menu